2014年2月14日金曜日

2月14日はバレンタインデー。しかし、ここには女の子もチョコも実在しない。あるのは戦車だ!

ヴァーレンタイン?ああ、戦車のことね

そういう事を言う人は少なからずいるだろう。


え?どういう事か分からない?
ではそういう人たちのために偉大なる英国面の生み出した戦車を紹介しよう





Valentine Infantry Tank(バレンタイン歩兵戦車)



バレンタイン歩兵戦車


え?そもそも歩兵戦車が何だかわからないって?
戦車に歩兵を乗せる?ソ連じゃあるまいし、それじゃ2週間で死んじまうよ、歩兵が。
ではそこから説明しよう






世界初の戦車から受け継がれるドクトリン

学校の歴史の授業でも習うように、一次大戦は機関銃と塹壕の組み合わせによって
今までよりもはるかに防衛側が有利な状況になった。
いくら榴弾砲を撃ちこんでも退避壕(要は防空壕みたいな穴)に逃げ込まれて殆ど被害が発生せず、
歩兵を突っ込ませるために撃ちこむのをやめれば退避壕からわらわら出てきては機関銃を再配置し、歩兵を突っ込ませた頃には既に射撃可能。
あとは歩兵が穴あきになって・・・

それを数百万人分繰り返した頃、
とある発想が生まれた。
「機関銃が効かない鉄板を自走させてしまえ。」
そうして、世界初の戦車マークIが英国で誕生する。

Mk.I Tank



英国で生まれた戦車は、歩兵を随伴させて塹壕戦を突破することに特化していて、
歩兵と一緒に行動することが大前提であった。

そして一次大戦が終わり、イギリス軍は戦間期にとある議論が発生する
戦車は機動力を重視するべきか、防御力を重視するべきか。
結局、二次大戦に入る前に「それぞれ別の考え方を持った戦車を別々に作る」という選択をする
(戦車は騎兵科に属するか歩兵科に属するかの議論でもあったけど)

そして、英陸軍には歩兵戦車と巡航戦車の2つが生まれた。
歩兵の随伴を前提とし、装甲を重視、歩兵がついて来れないと意味が無いので低速でも構わないという設計の歩兵戦車

高い機動力と薄い装甲を持ち合わせた巡航戦車。
この2つに分けた。

そして、Ⅲつ目の歩兵戦車として生まれたのが
Mk.Ⅲ Valentine Infantry Tank。バレンタイン歩兵戦車である。
名前の由来は、開発関係者に「Valentine」という人がいたからとか、
設計の提出日が2月14日だったりだとか言われている

バレンタインの開発コンセプトは「新技術を使わず、小型の車体に必要な機能を詰め込んで大量生産に向いたもの」であった

一つ前の歩兵戦車、マチルダⅡに比べ装甲も薄く機動力も低いが、生産力だけは確実に勝っていた。

バレンタインの主砲は2ポンド砲。口径40mmで対戦車攻撃をするならより大口径な砲よりも有利。
但し、榴弾は使えないため、歩兵の脅威となる機関銃陣地等を破壊できないという
歩兵戦車として致命的な欠点ではあったが、
対戦車戦闘をするには割と都合のいい戦車であった。
「機動力さえあれば」



対戦車戦は機動力も相当に重要である。歩兵戦車は歩兵と同じ速度で動く。機動力なんて意図的に減らしているような戦車だ。
その機動力は16tの重さに対して135馬力。
チハたんこと、九七式中戦車ですら14tの車体に150馬力の発動機を載せています。
そんなバレンタインの最高速度は15km/h
九七式中戦車チハが38km/h

さらに、バレンタインは非舗装路(つまり道路でないところ)を走れば8km/hまで速度が落ちる。
いくら歩兵と同行するからといっても遅すぎである。

結局、大量生産という利点は、レンドリース法によってアメリカから送られてきた
M4シャーマン戦車に全てを持っていかれる。

それ相応の装甲と400馬力のエンジンによる38km/hの速力。
そして米国式チート生産力を最大限発揮する生産性。
榴弾砲も徹甲弾も使える75mm砲。
欠点があるとすれば航空機用星形エンジンを積むために車高が高くなったことくらい。
結局、バレンタインは目立たない位置に落ち着いてしまった。

それでも、特段問題があるわけでもなく「珍兵器」扱いはされていない。





「とある派生形を除いて」






その名はGap Jumping Tank。



まずは、画像を観てもらうことにしよう





「戦車が飛んでる!?」
かと思えば「なーんだ、ゲームの画像じゃないか」
と思ったそこのアナタ。
確かにこれがゲームの画像で、Gap Jumping Tankの実車は存在しない。

しかし、紛れも無く現実に計画され、実験まで行われた兵器なのだ
(証拠として、Wikipedia英語版に記述あり)



何故英陸軍はコンナモノを作ろうとしたのか。
自分で調べたところによると、どうも地雷原を「飛んで」超えるつもりだったらしい

「地雷撤去するのめんどくさいなー 時間かかるし戦車通せるようになるまで足止め食らうしなー
歩兵は通せても戦車は通せねえよなー」とでも思ってこういうものを考えたんでしょうか。

そして、実験。実験の方は写真が残っています。
それがコレ

偉大なる英国が生み出した傑作輸送車「ユニバーサルキャリア」にロケットを追加したもの。
戦車で実験する前に、これで実験したのだ。
そして結果























何故実験するまでに気づかなかったのか。
普通に考えて、飛行時の重量バランスを考えてない物を飛ばそうだなんてしたら
こうなるのは当然である

パンジャンドラムといい、コレといい、実験するまで分からないものなのだろうか本当に
これぞ英国面、というのを見せつけられた気がする









ちょっと別の話

最近、とあるアニメで英国面を感じたのでそれもまとめて書いてみる



とあるアニメには航空機が出てくるが、
その航空機というのがオスプレイに近い構造を持つ「ティルトウィング」の双発複座機なんですが、

その航空機というのには固定武装がついておらず、空中なのに後部座席からライフルで撃ちあう有り様。
演習だとはいえ一次大戦でもやってるつもりなんだろうか…
(あとはエアインテークの形からしてオーバーヒートしそうだとか永久機関とか色々突っ込みたいところはあるけど割愛)

まあ、それは練習機の話で戦闘機は違う…と心の底から願っていたもんなんですがね
現実は非情。戦闘機型も7.7mm機関銃っぽいのが後部座席に追加されてるだけで基本は一緒。

…アホか。二次大戦クラスの戦いを一次大戦の兵器でやるようなもんですよ
実際、後部機銃は一次大戦ではかなり有効なんですが、
そこから二倍近い速度での戦闘に変化した二次大戦には最早威嚇にしか使えなくなっていました


そのアニメの世界ではヘリコプターのほうが先に開発されたらしいんですが
(それに関しては竹トンボがある時点で、強力な発動機が開発されてしまえば確かに有り得るんですけどね)
それなら、ヘリコプター→固定翼機→ティルトローターという流れになるはずなんですがねぇ…
(機構の複雑さ的に)
しかも、2つのローターの回転を同調させる技術はあるくせに
数少ない固定翼戦闘機にはプロペラ同調機が付いてないと来た
基本的にほぼ同じ技術どころか、前提技術的に逆じゃないですかねぇ…


ミリタリー的、技術的に突っ込みどころは多々あるアニメ、某所では主人公が気持ち悪いと評判でした
これは面倒だから次回、とある英国面兵器と一緒に紹介しましょう


え?シリアを先にやれ?
政府軍はまだ調べてるんだ待ってくれ

0.1Monaでも寄付を頂ければ、次の記事への原動力になると思います
寄付:MSmPH9ptv8Vp8N3JMjFCgQ25ucXv3xKTAo

0 件のコメント:

コメントを投稿